2014年03月26日

ボツネタ供養(JRAプラス10編)

「JRAプラス10」、競馬ファンの皆さんならご存知だとは思いますが、今回はそれに関するネタを少し。

普通なら複勝元返しになるところが、特別に上乗せして配当が110円になるアレです。
http://www.jra.go.jp/keiba/plus10/
といっても、単純に複勝110円を狙うだけの作戦では「やってみようかな」とはなりにくいので、もうひと捻りしてみましょう。
そこで、「複勝配当上限が110円の馬が居るレースを攻略する」という作戦で行きたいと思います。

複勝配当上限が110円の馬がいる平地のレースについて過去2年ぶん調べてみたところ、面白いデータが出てきました。
【単勝1倍台前半の馬の方が回収率がいい】
「1番人気を買い続けると必ず負ける」というのは有名な話ですが、実は単勝1倍台前半の馬は回収率が意外といいです(単87%/複96%)。
ところが、1倍台後半の馬になると単75%、複88%と一気にダウンしてしまいます。

勝率・連対率・複勝率で比較すると…
1倍台前半:65.9%/84.4%/90.0%
1倍台後半:46.1%/70.6%/81.1%

明らかな差がある事が分かります。

【京都外回りのGII、GIは危ない】
この2年の重賞で複勝配当上限が110円の馬のうち、馬券圏外に飛んだのは…
12年天皇賞春(オルフェーヴル:11着)
13年天皇賞春(ゴールドシップ:5着)
13年京都大賞典(ゴールドシップ:5着)
14年京都記念(ジェンティルドンナ:6着)

この4ケースです。すべて、京都外回りのGII・GIIという共通点がありますね。
ところがGIIIになると、3着どころか連すら外していません。

【1000万下も危ない】
こちらの画像ファイルの通り、1000万下は明らかに数値が低いです。
クラス別_複勝率.png

内訳を調べてみましたが、主に「降級」が絡んでいるケースが多いようです。
というのも、人気を裏切って飛ぶのは3歳の7月〜4歳の6月に集中しているからです。


・クラス再編のあとメイチ仕上げで好走→人気するも反動で飛び
・降級を見越してメイチ仕上げで好走→人気するも反動で飛び
・降級を見越して緩い仕上げで出走して飛び(降級後激走)

考えられる理由として挙げられるのはこのあたりでしょうか。
今回は1000万下のみを取り上げましたが、夏競馬の該当馬はすべてのデータにおいて春競馬・秋競馬を下回っていて、これらは同じ理屈で説明できるでしょう。


先週の阪神大賞典のゴールドシップ(複勝110円)の取捨に悩んだ方も多いのではないでしょうか。
僕は「京都外回りのレースではない」という理由から、アタマ固定で買えるという予想をしました。
結果は御存知の通り、人気に応えての快勝。
次走は京都外回りの天皇賞(春)ですが、さてどうなることやら…。
posted by Lion at 22:57 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月12日

今週の芝の新馬戦勝ち馬評価

今週の芝の新馬戦では知り合いの出資馬が勝ち上がったり、POG指名馬が勝ったりしました。
どの馬からも素質を感じたので、この土日に行われた3つの芝コースでの新馬戦の勝ち馬評価を、気まぐれで書いてみようと思います。

土曜中山6R(芝2000m):マリアライト(めす・美浦:久保田貴士厩舎)
父ディープインパクト、母クリソプレーズ。
半兄にジャパンダートダービー勝ちのクリソライト、母の全弟にジャパンカップダート勝ちのアロンダイトなど。
当馬の兄や叔父にダートGI勝ち馬が居るように、パワーと底力を秘めた配合。
底力の問われる、上がりのかかる条件が向くタイプ。
この馬のパワーや底力は主に母父エルコンドルパサーに由来していて、具体的にどのあたりから来ているかと言うと、
Special=Lisadellの4×4・3クロスやら、
父Kingmamboの母母父父Graustark(RibotとHyperion、Son-in-Lawの組み合わせ)やら、
Nureyev≒Sadler's Wells3×2クロスやらに由来しているわけです。

で、その濃厚かつ強烈なクロスを、当馬の母母キャサリーンパーが継続しているしているんですな〜。
Sadler's Wellsの母父Bold Reason≒キャサリーンパーの父父Never Bendになっていて、これらの母母Be Faithfulがなかなか強烈な相似配合。
名牝La Troienneの強烈なパワーがここで継続されています。

Ribotの8×4クロスも見逃せません。Ribotの底力もキッチリと抑えられています。
三代母Rajput Princessの父Prince TajがBacteriophage≒Mumtaz Begumの3×2クロスになっている点も、Prince Bioが子孫に強く伝えたドロッと斬れる感じを増幅しています。

上がりのかかる条件がいいというのはこの血の影響が大きいと見たからです。

シアトルスルーの母父Poker、キャサリーンパーの父RivermanからNasrullah×Princequilloのニックス配合をクロスさせている点もGoodです。直線の長い府中コースでも最後までストライドを伸ばし続ける事が出来るでしょうね。

13.0-12.1-13.5-12.4-12.8-12.7-12.1-12.0-12.1-12.1という前が止まらない展開を、出遅れから外を回して差しきったというのは相当強い内容です。
オークスに出てきたら面白い存在でしょうね。


土曜京都6R(芝1600m):チョコレートバイン(めす・美浦:加藤征弘厩舎)
父ディープインパクト、母シャンクシー。
半兄にアーリントンC2着、ポートアイランドS勝ちのオリービンなど。
当馬の上は全て中央で2勝以上を挙げており、母シャンクシーは非常に優秀な繁殖と言える。

この肌にディープインパクトを付けたのは今年が初めてだが、これがなかなかいい組み合わせで、
ディープインパクトの五代母Hypericum≒シャンクシーの母父父父父Aureoleのニアリークロスが発生するんですなー。
母父のZilzalというやつもなかなかデキるやつでして、ディープと相性のいいNureyevを父に持っていたり母母Bold Exampleがラトロパワーを中心とした米血がこびりついたような母にBold Ruler×Princequilloのニックス配合を持ってきてて、これが小柄に出やすいディープ牝馬の貧弱さをよく補っているというわけです。
お母さん似のマイラーで、これがきょうだいで一番出世するんじゃないかな、と思ったり思わなかったり。
関東馬が関西の芝1600m以上の新馬戦に遠征をして勝ったのは2008年のロジユニヴァース以来らしく、大物の期待が高まります(PO馬なので頑張ってくださいお願いします)。
あわよくばハープスターやレッドリヴェールを脅かす存在になってくれないかしら。


日曜京都6R(芝1800m):レッドルシファー(おす・栗東:矢作芳人厩舎)
父ディープインパクト、母ヴァレンティン。
5番仔。兄弟に活躍馬は居ないが、三代母Muffitysの子孫にタイキシャトル、ピースオブワールドなど。

この馬が募集された当時、東サラの会員だった僕はこの馬の血統表を見て「Sadler's WellsにMill Reefの組み合わせのお母さんなんて、足が遅そうでとてもじゃないけど日本の高速馬場じゃ対応出来なそうだよなぁ」とだけ思って、カタログの次のページをめくりました。
それがですよ、京都の1800mの新馬戦であっさり勝ち上がるだなんて、おどろ木ももの木さんしょの木ですよ。
この距離に対応できた理由を自分なりに探っている最中なのですが、現時点の仮説としては…。

・母父King of Kingsが日本向け
サンデーサイレンス系×King of Kingsと言えばブライトラインさんがいますね。
芝とダートの両方で重賞を勝った足の速いお馬さんです。
僕はまずこのKing of Kingsとかいうよく分からない種牡馬について調べる事にしました。
するとですよ、主な勝ち鞍:愛ナショナルS、英2000ギニー(ともに8f)とあるじゃないですか。
「エッこいつマイラーだったの」というのがまず驚きです。サドラーっつったら漏れなく中長距離、そんな固定観念が僕の頭にへばり付いてたわけです。
ヨーロッパの中長距離といえばサドラーなわけで、そいつを短距離馬にしたオカンはよっぽど頑固なんやろなぁ…と血統表を見てみました。
こちら
ん…?A 1にHabitat?ニホンピロウイナーの血統表で見たことあるぞ…?
ニホンピロウイナーの血統表を見たら、父スティールハートがまさにそれでした。
血統表はこちら
Zummerudd≒スティールハートなわけで、ヴァレンティンの三代母はタイキシャトルのおばあちゃんなわけで、なるほどこの辺から良質なマイラー的要素を引き継いでるんだなと一人合点がいってウンウンと頷いておりました。

こいつもひょっとすると大物かもしれませんよ。次走が試金石ですね。

ここまで書いて三頭ともディープ産駒な事に気付き、「ああ、なんだかなあ」と思った今日このごろでした。

おわり
posted by Lion at 21:47 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月06日

歴史的瞬間がすぐそこまで来ているからこそ、オルフェーヴルの強さの源について考えてみよう

おはようございます。凱旋門賞の発走まであと半日、
目下最大のライバルとされていたノヴェリストの取消により、
悲願の日本馬による凱旋門賞制覇はより一層近づいたと言っていいでしょう。
勿論競馬ですから、絶対は無いのですが、オルフェーヴルには絶対があると私は信じています(キズナファンの皆さんごめんなさい)。

前哨戦フォワ賞の鮮やかな勝ち方を見るに、5歳秋にしていよいよオルフェーヴルは競走馬として完成の域に達したと言えるでしょう。
3歳で3冠+有馬勝ちを達成したとはいえ、あの頃のオルフェーヴルはまだ成長途上でした。
とんでもない馬ですね^^;

オルフェーヴルの5代血統表を見ると、5代内にあるクロスはノーザンテーストの4x3のみです。
ステイゴールド×メジロマックイーンの配合の素晴らしさについては既に他の方々が散々考察されていますし、今更語る事もないでしょう。
今回、この記事ではあえてその部分ではなく、当馬の持つノーザンテーストの4x3クロスが与える影響について、
私の拙い知識と文章ではありますが、一生懸命語らせて頂ければと思います。

まずは、軽くノーザンテーストという馬について触れさせて頂きます。
ノーザンテーストはカナダで生産され、故・吉田善哉氏の指示のもと、現社台ファーム代表である吉田照哉氏によってアメリカのセリで買い付けられ、
フランスとイギリスで競争生活を送ったのち、日本に種牡馬として輸入されて来ました。
そして種牡馬として大成功し、1982年〜1993年の11年で10度リーディングサイアーに輝きました。
ノーザンテーストは産駒に大舞台での底力、そして古馬になっても衰えない成長力を伝えました。
「ノーザンテーストの産駒は3回成長する」という格言がありますが、この底力と成長力はどこに由来するものなのでしょうか。

ノーザンテーストの母母Lady Angelaは繁殖牝馬としてNearctic(カナダ年度代表馬、Northern Dancerの父)を、また孫としてそのNorthernDancerを輩出した紛うことなき名牝です。
ここで、ノーザンテーストの5代血統表を見てみましょう。こちら
ご覧の通り、ノーザンテーストは5代血統表内にLady Angelaの3x2という非常に濃いクロスを持っています。
Lady Angelaらしさがオンになってるからこそ、ノーザンテーストは成功した、と見るのが自然でしょう。

では、そのLady Angelaらしさとは何なのでしょうか。
Lady Angelaの父はHyperionで、Hyperionは1940年〜1954年の15年間で英リーディングサイアーを6度獲得しています。
Hyperionの母Seleneは現役時代22戦16勝、繁殖牝馬としてはHyperionの他にもSickle、Pharamond、Night Shiftなど活躍馬を多数輩出した名牝中の名牝で、そのSeleneとGainsborough(イギリスクラシック三冠馬)の間に生まれたのがHyperionなのです。
Hyperionは母Seleneによく似た、とても小柄なステイヤーだったそうです。

「稀代のネット血統論客」と評された団亭鞘次郎氏のWebページ、「不世出の名花」 ローズィレジェンド Rosy Legend
より引用させて頂くと…
「子馬の心臓のサイズに与える影響は、父馬よりも母馬のほうが大きく、父馬の影響は息子よりも娘のほうが大きい。したがって、馬の心臓の容量はX染色体による伴性遺伝に依存する」
「X染色体の方は、父(XY)から娘(XX)へ、あるいは母(XX)から(50%の確率で)息子(XY)および娘(XX)へ、という径路で伝えられることが知られています」とあります。

つまり、LadyangelaはHyperionのステイヤーとして優れた心臓を受け継ぎ、それを子孫達へ伝えたと考えられます。
そのLady Angelaの濃いクロスを持つノーザンテーストもとても小柄で、Hyperionらしさ、Seleneらしさがよく伝えられており、また、産駒にもその「らしさ」を伝えたからこそ、種牡馬として成功したのです。

オルフェーヴルの父ステイゴールドの叔父(ステイゴールドの母ゴールデンサッシュの全きょうだい)、
サッカーボーイも450kg前後の決して大柄とは言えない馬でしたが、卓越したスピードの持続力を武器に競走馬としても種牡馬としても大活躍を収めました。
昭和63年に函館競馬場芝2000mで叩きだされた1:57.8というレコードは、それから25年経っても未だに更新されていません。
このレコードを配合面から考察するにおいて、ノーザンテーストの影響無しには語る事は不可能でしょう。
さて、そのサッカーボーイの全姉とサンデーサイレンスの間に生まれたのが皆さんご存知ステイゴールドです。
ステイゴールドも母系通りの小柄な馬で、善戦マンとして現役時代からファンの多い馬でしたが、海外の柔らかくスタミナを求められる馬場では能力をフルに発揮する事ができ、ドバイシーマクラシック、香港ヴァーズと2つのビッグレースを制しました。
7歳までタフに50戦ものレースを走り続け、大きな怪我も無く引退レースまで衰えを見せなかったのは、やはりノーザンテーストの影響が強かったと考えられるでしょう。

さてさて、そろそろまとめに入らせて頂きます。
我らが望田師匠のブログのこちらの記事より引用させて頂くと、
天皇賞・春回顧〜うまくいかなかったときも、背中ポンポンで帰路に着こう - 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
「ようするにステイゴールドの大物は、(1)母父メジロマックイーンでノーザンテーストの(ニアリー)クロス、(2)母系にデインヒルで母がRibotのクロス、この2パターンしかないわけですが、それは突き詰めればノーザンテーストの頑強さを増幅していることに他ならず、Lady Angelaの血を増幅していることに他ならないのである…という、毎度おなじみの口上で締めたいと思います」

とあります。

おぼろげながら、オルフェーヴルが持つノーザンテーストの4x3クロスの大事さが分かって頂けたでしょうか。
紆余曲折を経て、ついにオルフェーヴルは3度目の成長を迎えたと私は考えています。
競走馬として完成したパーフェクト・オルフェーヴルが今夜見せてくれるであろう「Lady Angela魂」を噛み締めながら、凱旋門賞を観戦したいと思います。

-完-
posted by Lion at 11:17 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする