2017年01月08日

雨の淀

私は雨の淀が好きだ。

第51回、シンザン記念。
雨の京都競馬場で、単勝27.4倍の8番人気馬キョウヘイと高倉稜騎手が人気薄ながらも重賞を制した。

報道記事のレース写真を見た私は、1267日ぶりの重賞勝利となった高倉騎手の歓びを爆発させている様子に胸が熱くなった。

高倉騎手はデビュー1年目から37勝の勝ち星を挙げ、JRA賞最多勝利新人騎手と中央競馬関西放送記者クラブ賞を受賞した。
減量を活かした思い切りのいい逃げっぷりに、馬券で何度もお世話になったので当時のことは今でもよく覚えている。
デビュー2年目は乗鞍も増え、前年を上回る40勝を挙げた高倉騎手。一見、彼の将来は前途洋々かと思われたが…
その後、高倉騎手の成績は徐々に下降する。

高倉騎手の年度別勝ち数
1年目:37勝
2年目:40勝
3年目:29勝
4年目:32勝
5年目:14勝
6年目:13勝
7年目:15勝

デビュー間もない新人騎手に対しては、救済措置として斤量減の恩恵がある。

特に30勝以下騎手の斤量3キロ減というのはかなり強力なハンデキャップで、その強みをフルに活用して勝ち星を積み上げていた印象のある高倉騎手。
2年目の夏ごろからガムシャラに前に行くシーンが目に見えて減って、そのぶん「あれっ?」と思うことがたいへん多くなった記憶がある。
この年の高倉騎手は1〜3月は12勝、4〜6月は13勝を挙げたのにもかかわらず、7〜9月はわずか3勝。勝率も極端に落ち込んでいた。
その頃の対談取材記事を紹介したい。

以下、上記記事より引用
>東 :前回のインタビューで、「スタートを上手く決めて、なるべく目立つような乗り方をしたい」ということでしたが、それはどうですか? 出来るようになってきましたか?
>高倉 :それが、最近はあまりハナに行かなくなりました。消極的に乗っているわけではないんですけどね。減量も落ちて、がむしゃらに前に行くだけだと馬も大変ですし。
>東 :そうですよね。減量はこれから取れるものですしね。
>高倉 :はい。減量が取れたら平場も特別と一緒の斤量になりますので、そこを意識しています。そう考えるようになったのは、今年の春くらいですかね。自分の中でだんだんと変わってきたかなというのはあって。以前は、前に行くだけ行ってというレースが多かったんですけど、今ではだいぶ後ろからでも競馬をするようになってきています。

高倉騎手は目先の勝利より先を見据えていたのだ。
その翌年の2012年6月23日に米子ステークスで騎乗したフラガラッハでオープン勝ちを果たし、返す刀で2012年7月22日に行われたGIII中京記念も制する。
翌年の2013年1月13日には未勝利戦以来10ヶ月ぶりに騎乗したカポーティスターでGII日経新春杯も制覇。
高倉騎手が憧れの存在としてよく名を挙げる岩田康誠騎手を彷彿とさせるイン突きによる好騎乗だった。
カポーティスターの単勝馬券を握っていた私は馬券の的中と高倉騎手のGII制覇を大いに歓んだのを覚えている。
同年7月21日にはお手馬となっていたフラガラッハで中京記念の連覇を達成するなど、勝ち星こそ減っていても濃い内容の騎手生活を送っているように感じた。

騎手デビュー3年目には100勝を達成し、斤量減もなくなっている高倉騎手。
ミルコ・デムーロ騎手やクリストフ・ルメール騎手のJRA免許取得や後輩の減量騎手といった強力なライバルの存在もあり、ここ数年勝ち星が減少している。
近頃は存在感を感じる機会も減っていただけに、シンザン記念で久々の重賞勝利シーンを見た私はとても幸せな気持ちで満たされた。


ところで、三冠馬ナリタブライアンの鞍上として知られる南井克巳元騎手(現調教師)は、
1979年12月23日の阪神大賞典(ファインドラゴン)から931日間重賞勝利がなかったのをご存知だろうか。
1982年7月11日に金鯱賞(テルノホープ)を制した後の輝かしい成績は以下の通り。

まだ幼いころ、阪神競馬場に併設されている公園で遊んでいた私はそこで当時の最強馬「ナリタブライアン」の名を知った。
ナリタブライアンは私がはじめて名前を覚えたサラブレッドで、
漆黒の馬体に真っ白なシャドーロール、身体を沈み込ませてチーターのように走り、一瞬にして他馬を抜き去る。
走るのが好きな名馬と、その背の上にいつも跨っていた男の姿を今でも愛している。

なぜナリタブライアンと南井克巳の話をしたかというと、
今からおよそ22年前、
きょうと同じ雨天の京都競馬場で、
ナリタブライアンと南井克巳騎手がクラシック三冠を達成して勝ち鬨(かちどき)を挙げる瞬間の姿を、
きょうのキョウヘイと高倉稜騎手の勝ち鬨を挙げる姿から連想したからだ。

あの頃も今も、私は雨の淀が好きだ。
posted by Lion at 19:53 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。